米シンクタンク、「日本の指導力不足、すでに日米同盟の妨げ」

【ニューヨーク=福山万里子】 ワシントンにある精鋭シンクタンク「新アメリカ安全保障センター」(CNAS)が、東日本大震災後の3月18日に発表した報告書の中で、「菅直人首相は、津波と震災が起こる以前から政治的忘却へ向かっていた」と、震災以前から日米同盟が弱体化していたことが明らかになった。

「日本の天災:原子力エネルギー、経済、日米同盟(へ及ぼす影響)」と題された報告書を作成したのは、これまで何度も日本の民主党政権へ日米同盟の重要性を訴えてきたダニエル・クリマン氏(フェロー)、パトリック・クローニン氏(シニアアドバイザー兼アジア太平洋安全問題シニアディレクター)など4人。

CNASは、現オバマ政権で東アジア・太平洋担当国務次官補を務めるカート・キャンベル氏らが設立した超党派の安全保障専門シンクタンクで、共和党知日派でブッシュ前政権時の国務副長官リチャード・アーミテージ氏も取締役会に名を連ねている。

同報告では、日本が昨年末に発表した防衛計画大綱で南西諸島の防衛やミサイル防衛の強化を打ち出したのは、米国が奨励したからだったが、「今回の震災でせっかく米国が優先してきた政策が、自衛隊の人道援助や救済活動の方向へ転換されてしまう可能性がある」と危惧している。

また、日本は高齢化による年金や社会保障コストの増大で、震災以前から特にここ10年来防衛費が毎年減らしていたことを指摘し、今回の震災復興で日本政府がさらに防衛費を削減するのではないかと懸念を示した。

一方、米国防総省の管轄下で米太平洋軍(USPACOM)をアカデミック面からサポートするアジア太平洋安全保障センター(APCSS)のデビッド・ファウス教授は今月5日、別の有力シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)から刊行されているニュースレターで、「中国海軍による日本近海での演習拡大など、日本の警戒心は高まっている」という論文を発表。「たとえ一時的に予算の都合で新しい潜水艦購入や古くなった戦闘機の買い替えに時間がかかったとしても、防衛目的の方向性が変わることはない」としている。

また、同教授は日本政府が4月1日、2011年版外交青書で改めて強固な日米同盟を宣言したことを例に挙げ、韓国、中国、ロシアに対する日本の領土権主張の姿勢は変わらないと指摘。

これに対し、前出のCNASのクロ―ニン氏は7日、The Wall Street Newsの取材を受け、「日米同盟が弱体化している危惧に変わりはない。今後も日米協力の重要性を訴えていくが、問題は予算だ」と答えた。

クロ―ニン、クリマン両氏による新たな論文は、日本の外交専門誌「外交フォーラム」(2010年3月廃刊)の後継誌「Diplomacy」に、近く発表される予定。

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