日本酒人気、米国では震災後ますます好調

日本酒ジャーナリスト、ジョン・ゴントナー氏による講演

【ニューヨーク=福山万里子】 「G-I-N-J-O、ギンジョー、少なくともこの単語だけは覚えて」

ニューヨークにある全米最大の日米交流団体ジャパン・ソサエティーで10日、1998年から13年間毎年行われている日本酒セミナー及び試飲会が行われ、定員を超す300人近くのニューヨーカーが集まった。

講師を務めたのは、日本在住で日本酒輸出のコンサルティング、日本酒の普及活動を精力的に行う日本酒ジャーナリストのジョン・ゴントナー氏。日本酒輸出協会理事という顔も持つ同氏は、「驚いたことに、アメリカでの日本酒の売り上げは、(東日本大震災と福島原発事故の後でも)減るどころが逆に増えています」と語る。

確かに参加者たちはセミナーもそこそこに、会場にずらりと並んだ14の酒造メーカーのブースに群がり、試し飲みしながら入念にメモを取る人、一緒に来た同僚や友人とどの日本酒が好みか議論を始める人など、関心の高さは並大抵ではなかった。

ジャパン・ソサエティーで行われた日本酒イベント

竹の皮で包まれたパッケージが人目を引く佐賀県天山酒造の「地酒天山(てんざん)純米原酒」は、七田謙介社長によると、「メリハリが効いて濃厚な味わいが、アメリカ人に受けて、当社の一番人気」という。リーマンショック後の一時の落ち込みも昨年回復し、全売上の6%を占める輸出が、「10%を超える日は近い」と自信満々だ。

現在、欧州・中国で規制が厳しくなっているが、「幸いうちはアジア向けは少なく、アメリカがメインだったので風評被害は少ない」(七田社長)

「海外輸出は全売上の4%で、そのうちの半分がアメリカ向け」という福島県奥の松酒造では、日本酒には珍しい純米大吟醸の「プレミアムスパークリング」がアメリカ人に人気。会場でも女性を中心に飛ぶようになくなっていた。「特徴がはっきりしているので、売りやすい」(輸入業者)と、すでにアメリカでの卸先の3割は、日系ではなく純粋な現地のレストランや酒屋という通り、ニューヨークだけでなく地方のレストランやワインショップなどでもよく見かけるブランドだ。

Sakayaで販売されている茨城、宮城県産の日本酒

奥の松酒造の津島健海外事業部長は、「輸出先の約半分を占めるアメリカは問題ないが、韓国・台湾・中国への輸出は完全にストップ」と語る。

今年2月、ニューヨーク・タイムズ紙でも取り上げられた、岩手県南部美人(なんぶびじん)の五代目蔵元、久慈浩介専務は、「韓国とドバイが厳しい。特に韓国はここ5年で一番輸出が伸びている国なので、痛い」と、メール取材に応じてくれた。

ニューヨークのMEGUなどアメリカ人向けの高級日本食レストランを重視し、久慈専務自ら商社と同行して現地営業を続けて売り上げを伸ばしているブランドだ。今回は震災からまだ2カ月ということもあり、専務のニューヨーク出張は見送られたが、試飲ブースではたくさんの人が列に並んでいた。

参加者のひとりの女性は、「被災した土地のお酒だとは知らなかったが、私の好みの味」と言い、「ニューヨークでは震災後逆に日本食レストランへ行く人が増えた。もしアメリカに何か起きたら、同じようにしてもらいたいから。友人だったら当然のこと」、と笑顔で語ってくれた。

ニューヨーク唯一の日本酒専門店「Sakaya」のリック・スミス社長は、「日本人以外の客は、ニューヨーカーや観光客をあわせて75%。震災後特にミヤギ、イワテ、フクシマ、イバラキ産を指定してくる客が増え、ビジネスは好調」という。イーストビレッジに2007年オープンした同店では、茨城県産3種類を含む東日本大震災被災地の酒造13ブランドを揃えている。

全米一の日本酒輸入業者ミューチュアル・トレーディングによると、現在ニューヨークの他「ノースカロライナ、ジョージア、フロリダ(特にマイアミ)各州への日本酒出荷量が増えている」という。西海岸では、ロサンゼルスやサンフランシスコの他、「シアトル(ワシントン州)やポートランド(オレゴン州)の日本酒ブームが熱い」(前出ゴントナー氏)そう。

今回、当記事を書くにあたって、被災した岩手県のあさ開月の輪酒造から、日本酒を飲んで復興を支援するアメリカの姿勢や救援・義捐金活動に対して感謝のメッセージが届けられた。

しかし、EUや中国、香港、韓国などでは規制が厳しくなっていることは深刻で、今回の参加酒造メーカーからもあちこちで、「政府自身が『安全だ』と各国に責任もって対応してもらわないと、自分たちだけに押し付けられるのは無茶だ」、という悲鳴の声が聞かれた。

現在アメリカに進出している酒造メーカーは、口を揃えて「蔵元自らが海外に出かけて売らないと売れない。商社に任せきりでは、どのように楽しんでもらっているか、どのような味が好みなのか消費者の様子はわからないからこそ、足を運ぶことが大事」、と語る。

ニューヨーク・タイムズ紙オススメの日本酒バー】
BLUE RIBBON SUSHI
119 Sullivan Street (Prince Street)
(212) 343-0404
308 West 58th Street
(212) 397-0404

DECIBEL
240 East Ninth Street (Second Avenue)
(212) 979-2733

DONBURI-YA
137 East 47th Street
(212) 980-7909

EN JAPANESE BRASSERIE
435 Hudson Street (Leroy Street)
(212) 647-9196

KANOYAMA ※The Wall Street Newsオススメ
175 Second Avenue (11th Street),
(212)-777-5266

KASADELA
647 East 11th Street (Avenue C)
(212) 777-1582

KIRAKUYA SAKE BAR
2 West 32nd Street, Suite 2F
(212) 695-7272
.
MEGU
62 Thomas Street (Church Street)
845 United Nations Plaza at 47th Street
(212) 964-7777

ROBATAYA
231 East Ninth Street (Third Avenue)
(212) 979-9674

SAKAGURA
211 East 43rd Street, enter through lobby (Lexington Avenue)
(212) 953-7253

SAKE BAR HAGI
152 West 49th Street (Seventh Avenue)
(212) 764-8549

SAKE BAR SATSKO
202 East Seventh Street (Avenue B)
(212) 614-0933
245 Eldridge Street (Stanton Street)
(212) 358-7773

【日本酒の種類が豊富なリカーショップ(ジャパン・ソサエティーのリストより)】
Ambassador Wines and Spirits
1020 2nd Ave, at 54th St.
(212) 424-5078

Astor Wines & Spirits
399 Lafayette St at East 4th St
(212) 674-7500

Crossroads Wines and Liquors
55 W 14th St
(212) 924-3060

Landmark Wine & Spirit Inc.
167 W 23rd St (between 6th and 7th Ave)
(212) 242-2323

Sakaya
324 East 9th St (between 1st and 2nd Ave)
(212) 505-7253

Union Square Wines & Spirits
33 Union Square West
(212) 675-8100

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