【要旨全訳】1日発表のIAEA調査団先行報告書

国際原子力機関(IAEA)は1日、日本に調査団を派遣していた、福島第一原子力発電所、同第二原発、東海原発に関する調査報告書の概要を先行発表した。正式な報告書は、今月20日から24日までIAEA本部(ウィーン)で開かれる閣僚級の原子力安全会議で報告される。

IAEAは、12カ国の専門家18人からなる調査団を日本に派遣し、先月24日から調査を行っていた。今回の調査概要はすでに1日、日本政府に報告済み。

約2ページにわたる前置きでは、各原発の地震対応の装置は問題なく機能したものの、津波の想定が過小評価されていたことを指摘。作業員らの勇気ある努力にもかかわらず、燃料に深刻なダメージが加えられ、一連の爆発で危険が増し、周辺環境への放射能汚染につながった「国際原子力事象評価尺度」(INES)最大レベルの深刻な事故となったと述べた。

「今回の事故による放射線被ばくによって健康を害した報告例はまだない」、としながらも、今回の事故の教訓を世界の原発の安全に生かすため、1)外部からの危険要因、2)深刻な事故の管理、3)緊急事態への備え、の3点について、重点的に調査したという。

以下、「調査により判明した主な内容と教訓」として、箇条書きにされた要旨の全訳。同報告書の全文はこちら(英語・PDF書類)

  • 日本政府と原子力規制当局、運営当事者は、今回の事故を教訓として世界の原子力の安全性向上を目的とする調査団に対し、きわめてオープンに情報を公開し、多くの質問に答えた。
  • 極度に困難な状況下で、断固として勇気ある作業に専念した専門スタッフの行動は模範的であり、(今回のような)異常な状況下で安全を確保するための最善のアプローチであった。これは、現場の作業員たちの対応拠点となったJヴィレッジの高度に専門的な支援活動により、大いに助けられた。
  • 日本政府による、一般市民の安全保護(避難を含む)への長期的な措置は、見事かつ非常にうまく組織だっていた。今後は、一般市民と作業員への適切かつタイムリーな、被ばくと健康状態に関するモニター追跡調査を行うことが望ましい。
  • (日本政府により)発表された原発事故収束に関するロードマップ(工程表)は、重要かつ定評はあるものの、新たな状況が判明したりする場合は修正が必要であり、国際的な協力が必要となる場合も出てくるだろう。これは、放射性物質の放出により避難を強いられた周辺住民が、普段の生活を再開するために、同地域を再生するためのより幅広いプランの一環としてとらえられるべきである。そうすれば、今回のような極端な原子力事故が起きた際、どのようなことが達成できるのか、世界に示すことができる。
  • (日本)各地の原発では、津波被害が過小評価されている。原発の設計者及び運営者は、全ての自然災害に対するリスクを適切に評価し、防護措置をとりいれるべき。また、最新の情報、経験、知識に基づいた評価及び評価方法を、定期的に点検すべきである。
  • 極端な外部からの事象、特に過度な洪水など、一般的に推測できる事象に関しては、徹底的かつ物理的に切り離して、多様かつ詳細すぎるほどの必要条件を設けるべきである。
  • 原子力規制当局は、定期的な審査を含め、極端な事象に適切に取り組むべきであり、IAEA安全基準に基づいて、規制当局の独立性とその役割を明白にするべきである。
  • 深刻で長期にわたる複数の事象については、設計の段階から、運営、資源の供給、緊急時の準備に至るまで、適切に検討されるべきである。
  • 今回の日本での事故により、現場での適切なコミュニケーションと、各原発の実質的な限度、管理状況、(人的・物的)資源を規定した、(あらゆる事象に対応できる)現場での緊急対応センター(ERC)の価値が認識された。これらは、深刻な事故を前提に、全ての主要原子力施設に設置されるべきである。さらに、深刻な事故状況下で、即時に必要な安全機能が回復できるように、シンプルで効果的かつ強力な装置についても、入手可能にすべきである。
  • 水素のリスクについては、必要な緩和装置が提供されているかなど、詳細な査定の対象とするべきである。
  • 特に初期段階における緊急対応措置については、深刻な事故に対して力強く対応できるような設計であるべき。

(翻訳・文/福山万里子)

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