米の脱法ドラッグビジネス 1210億ドル市場の実態

【ニューヨーク=福山万里子】 米のビジネス週刊誌「ビジネスウィーク」は、6月20日号(同ウェブ掲載は16日)のカバーストーリーとして、1210億ドル(約9.7兆円)と言われる「脱法ドラッグ」の米国での現状を詳細に取材した記事を掲載した。

「脱法ドラッグ」とは、覚せい剤や麻薬に似た作用があるにもかかわらず、法律で所持や使用が禁止されていない薬物のこと。アダルトショップやインターネットなどで簡単に手に入り、米国では特に入浴剤や芳香剤として売られている。トイレの洗浄剤として売られているものもある。

日本では2005年、薬事法に基づけば調合・販売は違法との理由で、厚生労働省が呼称を「違法ドラッグ」に切り替えた。

大麻に似た「合成大麻」は、2006年ごろからヨーロッパで人気が出始め、その多くが芳香剤として販売されている。パッケージ自体には何も説明はないが、YouTubeなどで吸引の仕方を教えるビデオなどが横行している。大麻自体は心身をリラックスさせる作用があるというが、合成大麻は不安症を引き起こし、心拍数が上がり発作に至るケースもある。

米国の毒物管理センター協会によると、2009年にはこうした芳香剤(「合成大麻」)による電話相談はわずか14件だったが、2010年には2874件と急増。2011年も5月末の時点で2300件を超える相談を受けているという。

入浴剤として売られている「合成覚せい剤」の場合も同じで、毒物管理センターへの電話相談は、2010年は302件だったが、今年5月までにすでに2500件以上寄せられている。過度の妄想や幻想、自殺願望や胸の痛みを訴えるのが特徴で、各地で「合成覚せい剤」使用による、自殺や銃乱射事件などが増えているとされる。

ミズーリ州カンザスシティーのコーヒーショップでは、芳香剤などを購入する客の大半は、軍関係者、主婦、教師、消防隊員が多いと話している。

米司法省の法執行機関である麻薬取締局では、においが特徴的でないために麻薬犬による捜査が不可能で、通常の尿検査でも成分検出の難しいこれらの薬物の取り締まりに頭を悩ませており、現在のところ各州や地方自治体の取り締まり機関の努力に依存している。

カンザスやミズーリなど、合成大麻全般を禁止する州もようやく出てきたが、調合成分を変えながら製造・販売を続ける業者も多く、イタチごっこの様相は否めない。あまりにも人気が出すぎたブランドは、製造・販売業者本人は告発・起訴されているが、ブランドや会社自体は存続している。

また、製造業者らは化学薬品の多くを中国から輸入しており、中国の電子商取引最大手アリババ・ドットコムで、何の規制もなく簡単に薬品が購入できるという。強力な幻覚剤が、低用大麻類などと誤って表示されたまま売られるケースもあるそうだ。

米麻薬取締局広報官は、「儲かるビジネスだけに、消滅させるのは難しい。新しい成分が次々と出てくるので、今後も問題は長く続くだろう」、と話している。

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米の脱法ドラッグビジネス 1210億ドル市場の実態 への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 「入浴剤」として売られる脱法ドラッグ 全米で禁止に | The Wall Street News

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