オイルサンドはどうなる? イエローストン川原油流出で

【ニューヨーク=福山万里子】 世界遺産にも指定されているイエローストン国立公園の北部を流れるイエローストン川で1日、川底の地下に埋設されているパイプラインが破損し、原油が流出した。4日現在、原油の回収作業は収束しつつあるが、より大規模なパイプラインをカナダから引く計画に、格好の反対材料を与えてしまったようだ。

今回破損したパイプラインは、米石油大手エクソンモービルが所有している。モンタナ州とワイオミング州の州境から、モンタナ州最大の都市ビリングスにある同社製油所まで、全長70マイル(約112キロ)と比較的短い。

製油所までの間にはイエローストン川が流れているため、パイプの一部を川底の地下に埋め込んでいた。パイプ破損の直接の原因はまだわかっていないが、この春から夏にかけて米中西部を襲った豪雨と洪水で水かさが例年より増しており、川の流れも速くなっている。

エクソンモービル・パイプラインのゲーリー・プルエシング社長は3日、会見で同パイプラインの一時停止を発表。「流れが速いため、川底の土砂が流されパイプラインに傷がついた可能性もある」と指摘した。同パイプラインは5月にも、豪雨で川の水かさが増したことを危険視した川沿いの町の要請で、送油を停止したばかりだった。

今回流出した原油の量は推定1000バレル(約15万9000リットル)。地元の報道によると、川沿いの農地までべとべとした茶色い水が入り込み、異臭がしているという。大自然の美しさを売りにしているイエローストン国立公園のおひざ元で、このような事故が起きたことに、全米から非難の声が上がることは必至だ。

カナダからメキシコ湾まで

一方、今回の事故により、カナダのアルバータ州からメキシコ湾まで巨大なオイルサンド用パイプラインを引く計画への反対が高まることも予想される。

現在カナダのエネルギー企業トランスカナダ(本社:カルガリー)は、米石油大手コノコフィリップス(本社:テキサス州ヒューストン)などと共同で、キーストンXLと呼ばれるオイルサンド輸送用のパイプラインを新たに米国内に敷設する認可を申請している。全長1661マイル(約2673キロ)という長さのため、今回の事故が起きたイエローストン川の他に、より大きなミズーリ川もまたがなければならない。

今回事故を起こしたエクソンモービルの原油パイプは直径約30センチだが、キーストンXL用に提案されているのは、その3倍の約91センチで、1日50万バレルの輸送を目標とする巨大なものだ。安全管理への懸念もそれだけ大きいと言える。

大気汚染も問題

アメリカ政府は現在、約2年にわたる認可レビューの最終段階に入っている。しかし、全米6州をまたがるパイプライン建設には、ネブラスカ州などの上院議員らが反対を表明しているほか、国際的な環境保護NGO「Friends of the Earth(地球の友)」などいくつかの草の根環境保護団体が反対しており、来月には首都ワシントンでのデモを呼び掛けている(デモの詳細はこちら)。

「ブラックゴールド(黒い黄金)」と呼ばれ、豊富な埋蔵量を誇るカナダのオイルサンドは、中東への石油依存を避けたいアメリカとしては願ってもない話ではある。しかし、タール状に黒ずんだ粘性の高い砂岩から原油を採掘するには大量の廃棄土砂が発生するほか、通常の油田から採掘する3倍以上の二酸化炭素(CO2)が発生される。オイルサンドによる大気汚染は、カナダ国内だけでなく隣接するアメリカ各州でも問題になっており、加えて輸送パイプラインに問題があるとすれば、オバマ政権もより慎重な判断が必要となるだろう。

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