IPOに臨むFacebook ユーザ数増加の意外な落とし穴

【ニューヨーク=志茂真奈美】 Facebookが昨日、SEC(米証券取引委員会)に IPO を申請した。

カリフォルニア州パロアルトにあるFacebook 本社 (Image: WIkimedia )

投資銀行に漏れて来た情報によると、最高で50億株を公開する用意があるという。モルガン・スタンレーを主幹事として、バークレイ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン等が幹事を務める事になる予定だ。

IPO 申請書によると、Facebook の昨年度の売上げは39億ドル(=約2970億円)で、前年から88%の伸び。一方、総利益は10億ドル(同761億円)で65%の伸び。売上げは大きく伸びているが、支出がそれ以上に増えている計算となる。

広告の売上げは42%増で、広告1件あたりの価格は18%増。広告収入は総売上げの85%を占め、残りの15%は Facebook上でソーシャル・ゲーム・ビジネスを展開するジンガ社等からのクレジット(支払金)収入だ。

クレジット収入は、5億5700万ドル(同425億円)と昨年1年で500%増と急伸した。この種のビジネスは3年前にはなかった事を考えると、大きな注目に値するだろう。ただし、クレジット収入の90%は ジンガ社1社を通じてのものである。

月間ユーザ数は、全世界で8億4500万人。一日当たりのユーザ数は43%増の4億8300万人。現在、スマートフォンのアプリで最もよくダウンロードされているのは Facebook のもので、昨年12月の Facebook のモバイル版ユーザの数は4億2500万人に上った。

しかし、実はFacebookのユーザ増加の陰には大きな落とし穴がある。

Facebookモバイル版では広告表示がされない。アップルのiOS 、グーグルのAndroid 等、モバイル用の OS が、広告表示を認めていないからだ。今のところFacebook にとってモバイル・ユーザの増加は、広告の売上げに対するマイナス要素でしかない。

対アップルの状況は、よりシビアだ。アップル製品上ではFacebook のクレジット収入も禁じられているからだ。例えば、Facebook 上でジンガ のゲームをプレイし、バーチャル・グッズを買う場合、通常ユーザはFacebook クレジットを購入してグッズ購入の支払いにあてる。ところが、アップル製品上でのプレイでは、クレジットはアップルのアップストアから購入しなければならない。アップルはこのクレジットの売上げのうち70%をジンガに支払うが、Facebook には何の支払いもされない。

モバイル・ユーザ数の増加は、「ビジネス」としてのFacebook の首を絞めるばかりである。Facebook が独自のモバイル端末の開発を急ぐ等、現状のビジネス・モデルに代わる何らかの打開策を打ち出さなければ、Facebook の未来は決して明るくない。

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